[ 瑞々しい花弁が彩られ露を落とし 蜜の香りを風に運ばせる。 花に接していたせいか、耳裏にも 染み付いた花の気配が漂う中。 夜を知らず朝だけを知る声が止む。 大人しく耳を欹て聞き入っていた男に 贈る祝福を天使は考えていた。 何が良いだろう、と。 暢気に悠長に毒牙が迫る>>171 ] ――――…………え?[ 跳ねるのは何処か。 仮初めの躰に芽吹くものなぞありやしないのに。 強張った指が一瞬だけ彼に触れて―― ]