―教会裏庭―
ジムゾンさん、こんにちは。
野菜の配達に来ました。
[ニコラスとの話が一区切りつけば、ジムゾンの居場所を聞き、野菜の籠を抱えて裏庭に顔を出す。
そこにシモンもいたなら、シモンさんもここにいたんですね、とふさがった両手の代わりに目で合図しただろう。
信仰心のないヤコブはジムゾンを「神父様」などと呼ぶことはなく、あくまで一人の村人、農園のお得意様として接していた。
必要以上に教会に寄りつかないとはいっても、彼やフリーデルを毛嫌いしているわけではなく、世間話くらいはするし、裏庭に何か植えたいと相談を受ければ可能な限り応じた。>>95]