― 捕虜交換当日 ―
「ああ。……では、こちらへ。」
[>>165馬上の将校が氷竜司令官の声に応じれば。同行していた兵が、氷竜側の馬車へ歩み寄った。
人員を書面と照らし合わせ、当人と確認を取り。同様に、こちらにも氷竜の兵が人員を照らし合わせる。]
……あれが、氷竜の……。
[噂程度には聴いていた。鋼鍛侯嫡子・ファミル=ド=ラヴァンディエの参戦と、港町コリルスの司令官就任。
互いの捕虜が自身の軍へ戻るその最中。
……不意に。>>166その空気が。白の剣士の姿に、一瞬言い知れようのない柔らかさを纏った気がしたが。何分、馬上と徒歩、陣営を別つ身。それ以上、確かめる術も……理由もなく。]