―廊下―
[何とか無事に危機を脱することが出来たが、
体調が万全でもないのに魔力を遣い過ぎた]
…………。
[衣服の破れは羆襲撃前に修復していたから良いとして、
その後再び血だまりに浸ったのが宜しくなかった。
おかげで全身血塗れの状態である。
しかし再度これを修復するほどの魔力は今はない。
水場があれば何とかしようか、と思案はしつつ。
非常事態の中、入浴すると言う発想は彼にはなかった]
急がないと。
[分かっていたことではあるが、
時間が経つほど空腹状態の吸血鬼は増えるのだ。
殆ど餌の供給がない古城で、
血を失う罠ばかり仕掛けられているのだから当たり前だ]