―― 現在 ――
[此方の姿をみとめれば、嬉しそうに手を振ってくれる様子に、
なんだかあの頃に戻ったような気持ちで、過ぎた時間を思う。
こうしていると、一瞬で溶けるような時間の隔たり。
けれど、確かに過ぎたもの]
……、
ま、これだけ賑やかなんだから、
見間違いもあるさ。
[ああ、見られていたのかと、
虚を突かれて、ほんの少し、反応が遅れた。
不思議なこともそのままに受け入れていたニコラスのことを覚えていても、
まだ打ち明けてしまうことは出来ずに、飲み込んだ。
――きっと、今はもう少し、心配などかけることなく、
再会の余韻に浸っていたかったのだと思う。]