―回想/ガートルードとテオドール―
[戦闘になったとき、どうしても先陣切って敵に突っ込むクセがあるせいで捕まることもしばしばある。
風の内戦の最中だったかも、一度捕まったことがある。
この時はテオドールもいたのだったか>>183。
更なる懸賞首――例えば先代船長の首を上げるためなのか、それとも別の理由からか。
武器を取り上げられた男は、収容区画の檻の中に閉じ込められていた。
ただ殺されるだけならまだしも、船長の居場所を聞き出すと称して痛め付けられるのは目に見えていた。
さてどうやって脱出するかと、檻に近付いて強度を確かめる。
このぐらいなら“強行突破”できるだろうか。
と、“アレルギー”が出たのか、機嫌の悪そうなテオドールを一瞥。
見てないことを確認して掴んだ手に力を加えた時だったか。]
「生きたいなら…逃がしてあげましょうか。」
[そう言ってきたのは、同じ髪と目の色をした20前の娘>>73。
あまりにも必死に自分から出してきた条件は、お世辞にも交渉上手とは言えなかった>>74。
放たれた嫌味>>183に何も言わずとも同意して。]
[それでもその手を取ったのは、“逃がしてくれる”という娘があまりにも必死だったから。]