[ …描かせて欲しいと言ったことはなかった。
何かにつけて忙しそうに見える彼だ、
偶に街で出会って小言を言うのが関の山。
それだけでもいいと。
もはや半ばあきらめてしまってもいた。 ]
……それはよかった。
[ 墓地に誘えば、意外と書いた表情が帰る。>>168
噫、こういったところなのだと思った。
作り物ではない生きた表情を見せてくれる。
それを知っているから未だに悪癖を知ってはいても
誰かにそれを言うことはないのかもしれなかった。 ]
そう、派手なものは好きそうじゃなかったから
落ち着いた色合いのものでもあれば――…、
[ と。柔らかな声に返事をしかけて、
立ち止まる。
確かめるように薄茶色の視線を追った――先。 ]