[ その考えが浅はかだったと知るのは、
それから暫く時が経った後のこと。
国王の継嗣が亡くなったという噂は
街から離れた遺跡にも流れ着いて聞こえてきた。 ]
[ ……次の第一王位継承者になるソールの名前とともに。 ]
[ 発掘の合間にその報せを聞いたとき、
薄々、もう会えないのだろうと予感はしていた。
王の跡目がどれほど大切に扱われるか
それは歴史を見ても明らかで、
暗殺や奇襲を警戒して城の中に生涯
閉じ込められ続けていた例もあるのだ。
この旧態依然としたル・ウルタールで、
第一王位継承者となったのならばそうそう
気軽に外からやってきた考古学者と会える筈もない。 ]
鏃の話。しそびれてしまったな…
[ 後悔は先に立たず。…もしも"彼"が国王になって、
自分が宇宙連邦の総会に出られるくらい名の知れた
学者になったらそのときは――もしかしたら、また。 ]