>>176>>177>>178 クレメンス
あらあら。
イースといい、今どきの冒険者の男性は皆口がお上手なんですね。
そうやって沢山の女性の心を盗んできたんでしょう?
[クレメンスが今どきかどうかはさておき自分を誉めてもなにもいいことなどないのにとやんわりと微笑む。
からかうように問いかける。
盗賊の術のひとつに『心を盗む』というものもあると知るからこその台詞。
例え知らなくても、口説き文句て一喜一憂するほどの若さは女にもなかった。
足を軽く交差させてカウンターに寄りかかるようにして立ちながら水の入ったグラスをあおり、飲み干す。]
私は…もう少し遅かったですね。
魔法をならい始めたこと自体が早くはなかったものだから。
後悔………たしかに私も後悔はしていません。
魔法使いになったころは他に道などないと思っていたけれど
きっと、本当に嫌だったなら別の道もあったのでしょうに
自分で冒険者になることを選んだのですもの。
ただ…………もう、野宿はしたくありませんね。