[湿り気を帯びタ前髪をそっト掻き上げテ、此方カらは幼子に贈ルヨうナ、あやすヨうナ口付けを。她ガ離レヨうとしたのなラ、そレを見送りはしタダろうガ――名残惜シそうナ視線ハ、向けテしまっタ事ダろう。
そうしテ、座ラせタ她ノ髪をゆっクりト濡らシて。シャンプーハットを忘レてシまっタから、今日ばカりハちゃあんト目を閉じテいて貰わナいと。]
目を、閉じテ。きつクきつク閉じテ、僕ガ良シと言うまで絶対に開けタら駄目だヨ。
[毛先ノ方を濡らシながら、顔を覗きこんで諭すヨうに。そうすレば她ハ、そレに従っテはくれただろうカ。
従っテくれたのなラ、手に泡を取り。モしも她ガ途中で目を開けテも大丈夫ナとうに軽ク上を向カせテ、顔に泡ガ付カないようにゆっクりト洗う。
そシテ最後に丁寧に濯げば、漸ク ”開けテも良イヨ” 、と声を掛けタ。
髪ガ終わレば、次ハ身体。濡レた手にタっぷりノ泡を取レば、ゆっクり、ゆっクり。まルで泡ノ羽衣を纏わせルように、她ノ身体を隅々まで洗っテいく。]*