[黒いドレスを纏った美女が訪れたのは、それから少し後のことだったか。
優雅な礼を目にしてソファから立ち上がると、こちらも形式的な一礼を返す。
城主から紹介があるまでは口を開くこともなく>>175、冷めた感情の浮かんだ瞳を隠すように、にっこりと微笑んだ。]
お初にお目にかかります、レディ・シュトラウス。
私のことはどうぞ、アレクシス、とお呼びください。
[彼女の表情>>179からは、嫌悪も憎悪も読み取れない。
笑みの下に好奇心が隠れていようとは、思いもしなかった。
だから親族に被害者がいなかったのだろうと、ただそれだけを理解して、名と姿を記憶に留める。
嫌われていないのなら嫌いはしない。ただし好いている訳でもない。
男にとって吸血鬼というは、そういうものだ。]
そして君がレディのお子ですか。
名前を聞いても?
[隣に控えているであろう青年にも形だけの声をかける。
欠片だけの興味、あとはただの気紛れだ。]