[再度、名を呼ぶ彼の思いを知らなかったが、
(いや、希くは知らないでありたかった、)
ただ、俺が苦笑を浮かべたのはそういう訳でもあった。
突然に、余所余所しい程の敬いを向けられるのは、確かに何とも酷な事だとは思う。
だが然し、大人になれば立場というものができてしまうのは仕方がない事だろうとも思うのだが、どうにも彼は赦してくれないらしい。
(そんなものは、建前に過ぎない。
俺が彼から距離を置こうとするのは別の理由だ。)
僅かに砕け、穏やかな口調。>>178
尋ねられた白雪は、肩の上で、ピィ、と短く鳴いたが、しゃんと伸びた姿勢のせいで誇るかにも見えるかもしれない。]
…………。
[思考の間を以って暫く黙してから、漸く口を開いた。]