旅人 ニコラス

[防寒着も雨具も脱がずに、リーザから渡されたタオル>>183頭からかぶった状態で、ジムゾンがいるところへ文字通り突進した。]

ジムゾンさ〜ん！　村で一番頼りにされている神父様！　探しましたよ！

[今生の別れを覚悟したあとで再会したような、大げさな口調で抱きつきにいった――ように見せかけて、実は単に耳元へ口を寄せて、そっと囁く。]

悪い知らせだ。どうか落ち着いてよく聞いて欲しい。
さっきリーザとペーターと俺の三人で船着き場へ行ってみたら、船がなかった。外はもう凄い暴風雨だ。嵐と呼んでもいい。

――どうやら、村に残っている俺たちは孤立してしまったようだ。
あんな予言があっただけでなく、ゲルトが倒れてしまった今、迂闊に公言すればパニックになりかねない。そこで、まずジムゾンへ相談しにきた。
今後の対応と、このことをいつ公表するかについて、な。

[どうする？　と首を傾げたあと、へなへなとその場に崩れ落ちて、”喉渇いた。お茶下さい”と訴えた。*]