ああ…そう言い置いて寝るなら、あの人は「冬眠」中か。
じゃあ、暫く起きないな…
[10年も前、しかも子どもの頃のことだから、
博士と暮らした間の記憶は、かなり朧ろだが。
研究に没頭した後は、暫く寝続けていたような気はする。
一度、試しに悪戯で起こしてみたら、
冬眠中に起きたクマの方がまだ可愛げがあるだろうと思ったから、
こっそり「冬眠」と呼んでいたっけ。]
そして、やっぱり、今でも独り…か。
[自分の他にも、誰か人間が傍にいてくれればいいのに…
と思っていたけれど。 あの人は、相変らずのようだ。
あの人が何も知らず睡眠から目覚めたら、何人もの人間が
研究所内をうろついていたなんて、いい気味だ、
と内心でほくそ笑む。]