[>>176 彼の声は酷く淡々として。――そして、泣き出す直前の子供の様に、頼りなく響いた。眉を僅かに寄せ、その声の流れる先を追う。ひどくひそやかな息をつき、いまさら遅い、答えを返す。]……そうだ。『エルンスト・ヒンメル』は、お前に幸福になって欲しかった。戦火に巻き込まれる事もなく、生まれた場所に待つものに苦しめられる事もない。やさしい人々のなかで病を癒し、やさしく、笑っていてほしかった。