人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


伯爵家・次男 フェリクス

[―数日後、さりげなくレトに探りを入れると彼は「覚えていない」と言った。

あぁ、彼がそうしたいなら。
自分も何も見ていない。そういう事にしよう。

そう心に決めて、男は笑ってレトの肩を叩いた。
掛けた言葉は「あんまり飲み過ぎるなよ」というもの。
何も知らない人間が聞けば、まるで酒宴でうっかり粗相でもしたかのように聞こえただろう。

―真実、彼の中でそうなればいいと思った。

聞き咎めたオズワルドに問われても内容は曖昧に誤魔化し。
以降はレトの事を時折からかいながら、脳裏に焼き付いたあの時の表情を塗り潰そうとした。
全て、無かった事にする為に。
閉ざされたこの場所で、彼が生きやすいように。*]

(187) 2013/10/11(Fri) 18:38:11 (蒼生)

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