[戦局は終わりを迎えようとしていた。
リンデマンス隊は多くを蹂躙され…残った兵らも、王が倒されたのを見て混乱に拍車がかかったのだろう。部隊として完全に瓦解し、散り散りに逃げてゆく。
敵味方の犠牲があちこちに転がる中で…
男もまた大地に横たわりながら、自分を倒した相手に声を掛ける。]
ねぇ… そこの大将… お願いがあるんけど、さぁ…
俺を捕虜にして…
そちらの司令官殿に 会わせて… 貰えないかなぁ?
[虫のいい願いなのは百も承知で、頼み込む。]
俺は、……この戦争の先を 見据えている。
そのために、 そちらの司令官殿に… お願いをしたいのさぁ。
[負けた将がどの口を──と思われるだろうが、それでもいい。此処でむざむざと命を落とすよりも大事なことがあると、男は信じていたから。*]