― 『世界樹』の枝 ―
[危うく体制を崩しかけたが。
その時に、腕を掴もうとしていたトオルの様子は察していたのか]
……ふん。この僕がこの程度でどうにかなるワケがない。
お節介、なんて寝言を考えちゃっている暇があれば
お前こそ、うっかり世界樹から根の方まで転落してくれるなよ?
[じろ、と向けた瞳を戻してからは、少し急ぎ足と化して。
世界樹の枝。葉ずれの音と、ゆれるこずえの音を耳に挟みながら、進んでいけば。
足場の悪い枝の空間が終わり、枝と枝が綿密に絡み合い、ひとつの巨木の様にふとい枝となり、足元の固められた、枝の広間に出迎えられて…]