― 回想/卒業後 ―
医術教官の紹介で、信頼できる医師に診てもらえることになった。
費用面が心配だったが、教官が様々な伝手でもって、様々な検査や治験を条件に、なんとかやりくりできるように整えてくれた。
どうしてここまでしてくれるのか訊ねると、
やっと治そうとしてくれたことが嬉しいのだ、と彼女は語った。
(―――もう医務室はないんだから、自分の身体は自分で手当てなさいね)
珍しくやわらかな口調で言われ、彼女の顔を見た。
発症してから後。ベッドの占有率をうなぎのぼりにしながら、少しずつ語られてきた言葉たち。
守られてきた世界に気付く。
(―――…本当に、ありがとうございました)
静かに、頭を下げる。