人狼物語−薔薇の下国

13 Chant 〜あなたを失い死を知った〜 SIDE:B


前哨狙撃兵 ダーフィト

― 回想/卒業後 ―

 医術教官の紹介で、信頼できる医師に診てもらえることになった。
 費用面が心配だったが、教官が様々な伝手でもって、様々な検査や治験を条件に、なんとかやりくりできるように整えてくれた。

 どうしてここまでしてくれるのか訊ねると、
 やっと治そうとしてくれたことが嬉しいのだ、と彼女は語った。

(―――もう医務室はないんだから、自分の身体は自分で手当てなさいね)

 珍しくやわらかな口調で言われ、彼女の顔を見た。
 発症してから後。ベッドの占有率をうなぎのぼりにしながら、少しずつ語られてきた言葉たち。
 守られてきた世界に気付く。

(―――…本当に、ありがとうございました)

 静かに、頭を下げる。

(187) 2013/06/15(Sat) 12:39:02

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