はい、どうぞー。[やがて両手で抱え持った本をヨアヒムの前に置く。重厚な表紙には、近年名を上げた画家の名前が踊っている]そういえば、さっき描いてた絵。完成したら、ここに飾りたいの。……だめ?[画集の中身には目もくれず、館内を見回しつつ問う。壁はほとんど本棚に埋めつくされているから、絵を飾るとしたら、どれかの棚を動かさなければなるまい]途中だけど、飾っても恥ずかしくない作品になると思ったから。[それは絵について詳しくないクララなりの、精一杯の賛辞だった]