[“悲しんでいる時間がない”というのは、
先ほど感じた差し迫る危機感>>46ゆえの言葉だったが。
アリーセやアレクシスの死に、深い嘆きと自責を感じるような者なら
それは、聞き様によっては、”冷たい非人間的な傾向”か、
或いは、”二人の存在や死を軽んじる”ようにも、
聴こえても、おかしくなかったかもしれない。
彼の言うように、自分が元気に見えるとしたら。
それは、一種の “余裕”>>147と感じられたかもしれないし、
巡回の後にメイン・ルームと第二エリアや通路へ赴き
二人の遺体の発見と処理をしてきた、直後の為もあっただろうか。
走り回ったせいで、頬は常より上気した赤みを帯びていただろう。
―――…まるで、“何か”の興奮の、冷めやらぬ余韻のように。]