ー中庭ー
[空を見上げていた男はその足音にそっと瞳をそちらに向ける]
いや、君のためならいくらでも時間は割くさ
[黙って続く彼の言葉を聞く。その言葉に少しだけ落胆に近いような悲しげな表情を見せたが直ぐに自嘲気味に笑い]
君がそう思うなら真実はそこにあるのだろう。何しろ私はもう、あの時の感情ですら思い出せないのだから
[おいでと手招きを。そうして叶えば彼の頭にその手を乗せようと]
君が何であれ、私が何であれ、君が迷う事なく進んだのはよくわかった。それは君の誇るべき点であり、そして君が強くなった証だ
誇りなさい。その心を、強さを。私と君が相容れぬ存在同士であれ、私は純粋に君自信を愛しているのだから。
[その言葉は自らのためのものか嘘か真か、長いことこうして生きてきてしまった私にはわからなくなってしまったけれど。
きっと君がそう思ったのなら、それが真実。そして、君が私のことを信じてはくれなかったのだろうことも。]