─ 回想 ─
[>>150ゆっくりと息を吐きながら
取りつく島の無い様子に、ぐ、と唇を噛む。
エルから降りる様子は思いのほかちゃんとした足取りだけど、
早く休みたいだろうなんて馬鹿でも分かる。
いつもならもっとシェンにじゃれついて遊ぶエルが
大人しく竜舎へと戻っていったのも、きっと私のせいだ。
自分のせいだって思わせてしまったのだろうか。
傷つけてしまったろうか、あの子は悪くないのに
私が後先考えず、騒いだせいで。
取返しのつかない後悔に、余計に涙が溢れそうになったけれど
自分が悪いのに泣くのは嫌で、一度ぎゅ、と目を瞑った。
いつもならこれで我慢できるのに、
もう一度開いた視界は、歪んだままだった]