[城内へと、足が向いたその時だった。
礼拝堂で、気配だけを残し姿を見せなかった新人の
勇ましい叫び声を、人のそれよりも強くなった聴力が察知した。]
……生意気な奴だな…、
[くすくすと、声を上げて笑い零した。
けれど、新人に痛いところを突かれていたのは確かだった。]
格好くらいつけさせてくれよ、後輩…
[付き合いが長い故お互い、
常に一緒に居るのが当り前になってしまったけれど
リエヴルは自分のものではないし、彼も牙を持った今、
容易に潰される存在ではなくなったのだ。
それに、リエヴルにだって支えるものを選ぶ権利はある、と。
紡いだ言葉がディークやリエヴルに届いたかは定かではなく
そのまま、歩みを進めていき]