[リヒャルトが倒れたのは、コンスタンツェから供給される魔力の経路が経たれたせいであった。
それは同時に、契約が解消されている状態であることを意味している。
リヒャルトをローブの枕で寝かせたものの、もとより弱い身体をこれ以上冷やしてはいけない。
木の枝で簡易に描かれた魔法陣に向かって魔力を流せば、小さなの火が立ち上り始めた。
リヒャルトの左腕に触れれば、膿んだ傷がそこはかとなく熱っぽい。
傷口にそっと唇を付ける。
そこから魔物の放った瘴気だけを吸い取った。]
(まだ瘴気でよかった…毒だったなら、私にはどうしようもできない。)
[ポーチから取り出した包帯をぐるぐると腕に巻きつけて、治療は終わる。
あとは、]
………どうやって、元に戻そう。
[何者かに経たれた契約の通路を。]