[のんびりとした口調でされど返しづらい問いかけをされると、一瞬、目の奥に冷たい色が宿るも、すぐに口を開くと]
……そりゃあ決まっとるわ。
俺、絵心あれへんもん、楽に描ける方にするわ。
[手の止まった風景画が完成に近づくのを楽し気に少し見守ろうかな、と指先についた茶菓子の屑を舐め取りながら画家の手元を眺めていた。]
それ、好きや。
俺、この庭好きやから、その『絵』完成したら
見せたってや。
[そういってにっこり、常のように微笑んで。
そうしている内に声が聞こえた、と捕捉され
取り押さえられるように仕事に連れ戻されるのは
そのすぐ後のこと**]