[だが、シモンが一歩踏み出したところで、何かを思い出した様子でくるりと…を振り返った。不思議そうに言葉を待つ…にシモンが言い放ったのはいつかの話し。]
…ッ、…別に、わたしははしゃいでなんかいないですよ。
[なんて、嘘ばっかり。一面の雪を見て子供みたいにはしゃいでしまった癖に。大人びたリーザが見たら驚きを超えて呆れてしまうのではないだろうか。…は言葉を詰まらせながらも素直にその事を認めようとはしなかった。
相変わらず空は灰色の雲に覆われている。…は、白い息をはずませながら、]
皆の心配は良いですが、貴方こそ気を付けなさい。天気が崩れてしまう前に帰って下さいよ。
そう、くれぐれも風邪をひかないように、ね。
[未だに油断すると風邪を引いたりすると言っていたお人好しの彼。何処か控えめな声でそう告げて、小さくなる背中に手を振った。**]