―バルコニー>>160―[紡がれる歌に合わせるように、静かな足音が近づいて行く。ゆらりゆらり。やがて月と星明かりの照らすバルコニーに、薄らとした影が落とされた。右手に携えるのは、いつか拾った黒い羽根。歌口遊む青年の背後までやってくれば、その先端で彼の頬を撫でた] 御機嫌よう、大鴉さん。[にこりと空色を細めて、微笑む] ―――…悪い夢は、覚めましたか?