― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ―
[相手の抱える葛藤は知らず。今はただ戦うことに集中して。
風竜を殴りつけた反動も利用しながら、氷竜は風を掴んで大きく旋回した。距離を離してから反転して体勢を立て直す隙を作る]
っは、ぁ。
[その間に呼吸を整え、右手の動きを確認した。若干の痺れが残っているが柄を握っていられないほどではなかった。
ギュッと握り直して、霧の中、竜の気配を感じる方に顔を向けた]
……風が?
[風竜の登場で薄らいでいた霧がまた立ち込めてきている。
さっきまで流れていた風を感じられなくなっていることに気がついた時には、もう白竜は動き出していた。>>162]