[カークが道を譲ると横を通りぬける。
小部屋の前に立ち中を伺う。なにやらボソボソとした話し声。内容までは聞こえないが、マレンマとベルガマスコであろうか。やがて意を決すると小部屋の中へ。]
閣下、少々お話があるのですが・・・
[扉を開けて部屋に入ると、入れ違いに半裸のエレオノーレが中から飛び出してくる。すれ違うだけでもわかるほど傷だらけになっている彼女を見ると更に陰鬱な気持ちになり、邪魔をすることなく通してやる。
部屋の中にはベルガマスコとマレンマと自分。
薬を差し出しているマレンマの本心はわからぬ。裏切るのであれば、それでも良い。今の狙いはあの下衆のみ。先ほど味わった屈辱は、敗北感は、雪がねばならぬ。]