― 公国拠点・中級将校執務室 ―
>>139
士官学校の仕事は、任務ではない。
任務は帝国の技術情報を漏洩しろ、であったからね。いきなり帝国のアカデミーを卒業して無職していたところを、モーリッツ先生の紹介で…というのがあってな。
尤も、次の年の行き先が見つかったからこそ、教職を1年で辞したが。
[流石にそこまで遠大ではない、とばかりに小さく首を振り]
いや、私がジャン局長の下につく前から、ラムスドルフ氏……というよりも、ラムスドルフ家の皆さんと親交があってな。「ごきんじょさん」という間柄ですね。
彼の仕事内容については私も直接聞かされることはなかったが、聞き手がいると自然と科学者という人種は饒舌になるもので。お酒が入ればなおのこと。
[酒を嗜むようになってから、本当にあの気のいい「おじさん」のことがわかるようになってしまった。秘密裏の研究であればあるこそ、聴き手の存在は嬉しいものだっただろうと]