[何が、真実なのかは分からない。
確かなことは父が何者かに弑されて、その遺言ともいうべき文書に疑念が付き纏っているということだけだ。
本来なら。王の死はもっと隠されてあるはずだった。
朝になり、常に一声かけて起床を促す傍仕えの者が、王の応えのないことを不審に思い王の寝所を改め、そこで事が発覚した。
事が事であり、ましてや死因は暗殺である。
速やかに口止めが為されて、王宮は厳重に封じられた。
両王子に知らせが齎されたのち、軍の限られた者たちと監査局の上層のみが呼ばれ、事に当たった。
凶器はすぐに見つけられた。
異国より齎されたクロスボウ>>130
それのみ見れば異国の者の仕業ではあろうが、それのみにて犯人に繋がるような証拠とてなく、王の死は暫し隠されたまま、下手人は密やかに捜索される…はずであった。
噂が、まことしやかに囁かれはじめる、その時までは>>148]