[胸郭の狭間から顔を出して見下ろし、白い歯を見せてロープを切ろうとした敵兵が、南からの援護射撃に射抜かれて後ろ様に倒れて消える。
感謝すれど、止まって射手を確認している暇はなかった。
砦の壁面を急ぎ伝い下り、最後は飛び降りて南へ駆け出す。胸の傷が動きにつれて引き攣れたように痛む。
前のめりに走りながら、祈るように南門の方を見た。
火の手は上がっているかと。]
──…、
[とにもかくにも、先に退避した者たちに合流し、森へと進ませよう。
森に入ってしまえば、あるいは夕闇が濃くなれば──
獣たちの時間だ。**]