― 箱舟 ―[霞みざらつき、ほとんど色の無い視界を、鮮やかに横切るものがあった。傷つきながらも飛ぶ複葉機、包む光はあたたかな白。>>169鼓膜を揺らした呼び名に、微笑む。] 手を、離さないで……いてほしかった[唇だけが分からぬほどに動く。]