― 執務室・クロイツと>>84 ―
ああ、これか?
部下の妻で、私にとっても学生時代の後輩からのプレゼントだ。
私は残念ながらこの年になっても独身なんでね。
[もちろん縁談は降るように来ていた。
ラウツェニング家の跡取り息子なのだから、
結婚は権利というより既に義務に近い。
それでも、頑なに全ての縁談を断っていた]
ああ、ベルンシュタイン大佐の直属の部下になるか。
あいつは本当に有能な男だから。
彼の下で思う存分に貴官の力を奮ってくれ給え
[結局、似ているということの疑問を解消することはせず、
新任の部下にするのと同じ態度で接して、
部屋を出るクロイツを見送った]