― 第2エリア・通路 緊急事態発生時 ―
[医者を目指すきっかけになったのはどこにでもある話だ。
故郷でとある感染病が流行、たくさんの人が死んだ。俺の家族も犠牲になった。
これ以上同じような目に合う人が少しでもいなくなりますように、救われますように。そんな想いで医者になろうと決めた。
他の学友達も大体似たり寄ったりだ。先ほど別れた彼のように、家族の病気を治したいだとか、理不尽な環境下で死にゆく子ども達を救いたいだとか。中には金目当ての奴もいるけど。
…さて、飲み直すにしてもどこに行こうか?
先ほどのバーは良いお店だったけれど、ぼろぼろの学友を連れていたので厄介客認定されていたらと思うと行き難い。
端末からレストランガイドを呼び出し、吟味しようとした、その時。]
え?なになに?!緊急事態?
…って、うわ!いってぇ…
[突然の警報アラーム。>>#4
響き渡るキャプテン・メリーの声に、周囲の人々が悲鳴を上げ、第1エリアへと走り出す。
完全に油断していたから、押され突き飛ばされ転んでしまう。気持ちは分かるけどちょっと落ち着こうか?!
慌ただしく我先にと避難する乗客と、なんとか誘導しようとする乗務員さん。
打ち付けた腰が痛い。この中に入って行く気も起きず、とりあえず通路の端に避難する。
落ち着いたら俺も第1エリアに向かおう、と腰をさすりながら避難を見守る。
乗務員さんお疲れ様です。]