― バルコニー ―[目の前の戦いと、前庭と、城内の動きと。様々に神経を張り巡らせながら、ふと思い出すのは過去の情景。狼たちを連れて弟と共に狩りへ出かけたあのときのこと。>>0:172月と、蛍と、萌緑の髪の色と。断片が記憶からはらはらと舞い降りて、降り積もる。水辺にやすらう銀の狼。抱き着いているひとの子。>>0:224ああ、そうだ。―――どこかに、同族の気配がした。]