[そうして、ヨアヒムの言葉を聞いて>>179>>182
ペーターは、腹の底から「何か」が冷えていくのを感じた。
それは怒りだったかもしれない、もしかしたらもっと別の何かかもしれない。
ただ、決して美しくは無い感情だった。それだけは確かだった。
それだけが、ペーターの口を動かした。]
……僕は、この島が嫌いだ。
皆が過去に縛られて、ただ穏やかに死んでいく現状を、甘んじて受け入れるしかないこの島が、大嫌い。
美しい星空も蒼い海も、いらないよ。
僕が欲しいのは……そんなものじゃない。
[机の下で、握りしめた手は力を籠めすぎて真っ白になっていた。
ドクドクと心臓が早鐘のように音をたてる。頭の奥でキィンと高い音がする。
抑えきれない感情が、ペーターの中で暴れていた。]