― 軍港/ヴィスマルク乗船口前? ―
[私が少佐に昇任したのは先月、ちょうど私の23歳の誕生日。
飛び級で大学を出て、そのまま軍属になってもう5年。
自分でもびっくりするくらいのスピードで出世していた。
本来ならばこの船には我が造機部の部長が乗るはずだったのだが、彼はとても臆病な人物で前線に出向くのを嫌がり、結局誰かが代理で行くことになった。それを聞いてこれ幸いと私は立候補し、乗船することになったのだ。その結果、技術少佐・設計課主任代理という肩書がオマケでついてきたりした。
名目上は「技術大尉として新機関を開発し、設計課を先導した功績」の出世だけど…たぶん、大佐である部長の代理が大尉では面目が立たない、とかそんな理由だろう。どうやら部長の口添えもあったみたいだし。
そんな、やはりどうでもいいことを考えつつ、そそくさと乗船する。早めに艦長に挨拶しておかないといけなかった。]