[重武装で足の遅い彼らを崖の上まで送るのは難しい。
ましてや、彼らがこの場の敵に背を向けるのを承知すまい。
ならば、ここでヒトガタを抑えてもらう。
接近したディークの前に入り口を開いたような城であるから、感覚器は瞳ひとつではあるまいが、視線を釘付けにしておけるならば、間違いなく利となろう。
味方でありながら城に蹂躙された記憶も新しい鉄底族には、その前途に身を置くことがどれほど危険か充分に身にしみている。普通ならば、拒否されてもおかしくはないところ。
だが、恐怖に潰される者たちではないと、わかっていた。*]