―城の一室(客室)―
[巨体の羆の突進>>172は、暴力的に扉を吹き飛ばした。
被せた布も数秒と経たず、鋭い爪に引き裂かれる。
白と焔の隙間より、姿を現す獣の顔。
焦点の合わぬ瞳は、何処か苦しげにも見えた]
―――――…あらあら。本当に困りました。
[刹那に振りかぶられる腕。
あれ程の威力の攻撃、一発貰ったら御仕舞だろう。
帽子の下で空色は限界までその軌道を見定め、
ぎりぎりのタイミングで横へ飛んで逃れた。
ふわりとステップを踏むように着地したのは、
己が先程作った大きな血溜まりの中心。
両手の指先を赤に浸して、
自身の多量の血液を魔力の媒介として、術を掛ける]