優しい、なんて言われたの 生まれて初めてだ[頭を撫でられるのは、くすぐったいけれど嬉しいこと。吸血種故の聴力の鋭敏さがギィの言葉を拾っていたけれど否定できなくても、これもあれも――全て、レトだった。ディークの頭から手を離し、少しだけ照れ隠しのように頭を掻いた] あー…んじゃ俺行くな お前の兄ちゃんも探したいし…… 一人で、無理すんなよ[嘘ではないが、それでもやはり笑顔を保つのが、難しくなっている。そう声をかけてその場を離れようと――]