……
[ぬかるみのような。
痛みを感じないまま攫まれた足元に視線を走らせる。
土の上を汚して零された酒の跡、のように見える濡れた軌跡が仄白く光り、
足元へ円形の陣を描いていた]
[庇うように抱え込んでいた女の体を、陣の外へと降ろして横たえる。
でようとした足に鈍い抵抗がかかった。
行動を鈍らせる呪縛術、
こんなものに本当に効果があるんだ、とうっすら感心を]
…お前には何もしていないが
[闇の中、白い小剣を構えて姿を見せた大柄な男と向き合った。
狩人の意識をこちらへ向けさせるように、追い詰められたふりで呟く]