[>>14 高らかに告げる宣とともに、跳ねあがるように身を起こす。
太刀の勢いすら、その身を起こすための引き金にして。
そして、その切っ先は一気にマーティンの方へと迫ってきた。]
うおっ!
[僅かに身を逸らし、剣の餌食となることを逃れる。
然し、それは大きな隙を与えてしまった。
樋熊を思わせる巨体は、俊敏さに欠けており、一度できた隙を埋めることはなかなかに難しい。
>>16 剣士はその一瞬を逃す事はなかった。]
しまったッ、
[一気に走り出した剣士を追い掛けようと腕を伸ばすが、その俊足には敵わない。
こんなに大きな斧を持っていたら、素早く走ることも、もともと難しいのだが。
銀灰の背中はあっという間に遠くなり、やがて見えなくなる。
敵将のもとへと急いで行ったのだろう。]