― 回想 ―[先ずは、自らの胸に片手を宛がい、恭しく金髪を垂らして一礼成して。] 今宵の場に集まった紳士は、皆、月を逃したようだ。 俺は生憎そこまで慎ましい男でないのさ。 ――…レディ、一曲を?[ツキに掛けて、彼女を月と見る。>>156彼女の誘いに喉を震わせれば、掌を差し出し、今宵初めてのダンスパートナーに見ず知らずの彼女を選んだ。それは、気まぐれ?いいや、ツキを手にしてみたいと思うのは男の性だ。*]