― バルコニー>>174 ―[あれよあれよという間に押し倒されていた。背中に長椅子の座面の繻子のなめらかな肌触り。艶事に縁がなかった訳ではないが、自分が押し倒されるというのは。] ひっ、必要って、何に必要なんが?[上ずった声で、疑問をぶつけた。必死に腕を盾にしてソマリの攻撃を遮ろうとするのに、びくともしない。] ぁ …… ふ、 ぅ[やわらかい唇が膚に刻印を捺すたび、変な声が洩れてしまう。それも一層混乱を助長した。]