ルームメイトがよく昼寝をしていた木陰は、あの大きな木は。生徒会役員の旧友たちが椅子とテーブルを並べてお茶会を開いた木の下は、あの辺りだっただろうか。そう思いながら視線を向けた先に、人垣――兵士の輪ができていた。彼らが洟を啜り、涙声で呼ぶ人の名前は耳に入ってくるのに、それがどういう意味なのかは、よく分からない。夢の中でみたように、どこか遠く現実感のない光景を呆然として見つめていた。*