[ かなり思い悩んだ挙句、主を待たせている事に焦った自分が慌てるように口にしたのは『祖父の願いを叶えたいです。』 だった。 それはサシャが祖父っ子だった事からの他愛ない願いだった。 ずっと抱えていたが口にした事はなかった。祖父は同情されるような言葉を厭う。だから、初めて口にした言葉であった。 そんな主の眼差しに恐れながら口にした言葉に、彼はじっと自分を見てから、暫く置いて告げた。 今口にした言葉、一生忘れるな、――と。*]