[一旦言葉を切り、腹に力を溜めてニコラスに対し低い声を出す。]
だがな。この世に救済がないから、皆死んでしまえという意見だけは受け入れる訳にはいかないな。
それを了承してしまえば、この世に生まれた意味が全く見出せなくなる。どんなに苦しくても、誰にも助けて貰えなくても。死による逃避よりも生きて掴むことにこそ意義がある。
俺は死と隣り合わせの毎日からそれを感じた。
――尤も、この場にいる全員にそれを飲めと言う気はさらさらない。世の中には死んで楽になりたいと思う奴はいくらでもいる。
[強い人間もいれば、弱い人間もいる。皆同じではないのだと自らに言い聞かせるように言葉を紡いだ。]