― 回想/修行中の一幕 ―
もちろん好みというのは大事さ。
使っていて嫌なものは性にあわないってものだ。長続きしないものだしね。
[やる気が削がれるようなことはいらないものである。
相性的なものといえば―――まあそれは略すこととなる]
いい声だ!
[成長を見守る師匠。声同様に真っ直ぐに素直な上段からの打ち込みを、体を右半身分後ろに下げつつ、棒を旋回させるようにして合せる。
棒同士がカチリと鈍い音をたててぶつかり合わせながら、そのまま勢いを誘い、右側に振り下ろしを手伝わせるように、押し出しながらの降り下ろしでもある。
そして半ばから棒をもっているため、それは振り上げる動きも連動して行われ]
技量をもてば、こうしてこれだけの範囲を防げ同時に攻撃も行える。
これは相手の力を利用した戦いかただね。
[振り上げるようにして見せた棒は背中を打つでもなく、寸で止めて一度距離を置くと解説をして、先程の動きをゆっくりと見せるのであった*]